法律事務所の期日管理の基本は、二重管理です。裁判所から期日の通知を受けたら、期日簿(訟廷日誌)に記入し、あわせてカレンダーや手帳にも入れる。事務員さんが期日簿を付け、弁護士が自分の手帳にも書く——同じ期日を複数の場所に別々の手で置くから、どちらかの書き漏れに気づける仕組みです。日弁連の新人事務職員向けのテキストにも載っている、昔ながらの作法です。
管理する期限には、性質の違う二種類があります。ひとつは、控訴期限のように起算点が決まれば機械的に計算できる期限。判決の送達から2週間、といった型が決まっているものです。もうひとつは、時効のように年単位で先にある長期の期限。前者は「計算は簡単だが絶対に外せない」、後者は「日常の視界から消えやすい」という、別々の難しさを持っています。
二重管理が破れる瞬間
期日簿もカレンダーも、書き込まれてはじめて機能します。ところが元になる情報は、期日呼出状や判決といった紙・スキャンの形で届きます。誰かが封を開け、日時と場所を拾い、期日簿とカレンダーへ手で転記する。この転記は難しい作業ではないぶん、電話の割り込みや来客のあとに「あとで書くつもりだった」が起きます。
とくに判決後の控訴期限は、期日と違って裁判所が次回を指定してくれるものではありません。自分で計算して、自分で登録するしかない期限です。担当の交代や退職があれば、「あの事件の期日は誰が握っていたか」ごと引き継ぎから漏れることもあります。そして長く動きのない事件の時効は、日々の期日に追われるほど視界の外に出ていきます。
AIに任せられる部分
Astarでは、この「読んで、拾って、登録する」部分をAI事務員が引き受けます。期日呼出状や判決のスキャンを置くと、日時・場所・控訴期限を抽出して、カレンダーへ自動登録します。判決であれば、判決を起点に2週間後といった機械的な期限もあわせて登録します(判決→+14日等)。呼出状・判決からの抽出とカレンダー登録は、実機能として動いています。
「登録」と「確認」の分担
期日管理の事故は、たいてい「登録し忘れた」から始まります。書いてさえあれば、二重管理の突き合わせが拾ってくれる。だから分担はこうなります——登録はAIが必ずやる。人は、登録された日時・場所・期限が原本と合っているかを確認する。転記の手を止める割り込みはAIには効かないので、「あとで書くつもりだった」という事故の型が消えます。二重管理という作法そのものは、変わらずそのまま活きます。
よくいただく質問
期日簿や訟廷日誌をやめて、カレンダーだけにするということですか。
いいえ。複数の場所に同じ期日を置いて突き合わせる二重管理の作法は、そのまま活きます。変わるのは書き手です。呼出状や判決からカレンダーへ転記する手がAIに替わり、人は登録された内容を原本と突き合わせて確認する側に回ります。
控訴期限はどのように登録されますか。
判決のスキャンから、判決を起点に2週間後といった機械的な期限を計算してカレンダーに登録します(判決→+14日等)。個別の事件で期限の起算点や計算をどう見るかの判断は先生の領分です。登録された日付は必ず原本で確認してください。
手書きやかすれのあるスキャンでも読み取れますか。
読み取りの対象です。従来のOCRに頼らない方式なので、斜めに取り込んだものや画質の粗いスキャンも、整えずにそのまま放り込めます。そのうえで、日付や場所の読み取り結果は登録内容の確認時に見てください。
裁判所からの書類を預けることになりますが、機密は大丈夫ですか。
依頼者の情報は暗号化して扱い、AIの学習には使いません。契約時にNDAを締結します。詳しくは https://astarworks.com/resources/security にまとめています。